梅雨明けの快晴の日曜日を待って、常滑港にあるYMCAヨットクラブに行く。
午前十時、三十フイートのクルーザー”ミストラル号”に乗るためクラブの仲間が次々に集まってくる。全部で十人ほどだ。
近くのコンビニで昼食の握り飯とつまみを少し仕入れ、冷えたカンビールを携えて、港に係留してあるクルーザーに乗り込む。
その日のスキッパー(艇長)は難なくベテランに決まる。他はクルー(乗組員)にまわり、それぞれの持ち場に着く事になる。
エンジンを始動し、伊勢湾沖にでる。船が適度に風を拾うようになると、メインセール(主帆)を揚げ、ジブセール(補助帆)を張る。帆に一杯の風をはらみヨットはヒール(傾斜)する。クルー達は水面すれすれに傾いた艇側からすばやく反対側に移り、バランスを取る。更に弾みをつけて艇は風を切って水面を滑る。
短パンと裸の上半身が強い日差しを受けて焦げるようだが、帆の下を通り過ぎる風が涼しく冷やしてくれる。皆はカンビールを片手に、取り止めの無い話題に笑い興じる。帆影でゴロリと寝そべる者もいる。若者、中高年の独身男性や、家庭から逃れて毎週やってくる男達だ。第四日曜日のファミリー・デーには、招待された家族や若い女性達も加わり、船上は更に賑やかになる。
進行方向に合わせてジグザグ状に進路を変えてヨットは進む。艇長が「タックします」と叫ぶと、寝そべっていた連中もサッと起き上がる。帆が大きな音をと共に勢い良く反転し、アルミ製の厚板のブームが反対方向に突撃する。機敏な動作が必要だ。
夕方が近づくにつれ風は強くなり、波がうねり、スリルに満ちた爽快なセーリングを満喫する。一日で真っ赤に日焼けした身体は翌日から皮が剥けだし、私の越夏の準備体制が整うのだ。
多明功、97/8/2
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