眠れない夜

 

夜半にふと目がさめてから、眠れない事がある。いつもは夕食の前に軽く晩酌をするので寝つきが悪いという事はあまりない。ただ、仕事で面倒な問題を抱えている時などは、ついつい酒の量が進み、酔っ払うまで飲んでしまう。

目が覚めてトイレに行き、寝床に戻るが頭がさえて眠れない。前日の事にいろいろ思い巡らすが、良い解決策が浮かばない。睡眠不足は仕事に差し支えるし、早く寝なければと焦る。寝返りを打ったりするが、眠れない。眠られぬ夜は耐え難い禍である。

こんな時には思い切って起き上がり、学生時代から読み親しんでいる、カール・ヒルティの「眠れぬ夜のために」を取り出す。適当にページをめくり、気に入った個所から読み始める。

ヒルティは、スイスの弁護士、大学教授、代議士と多彩な活躍と、有名な著書「幸福論」で知られる偉大な思想家である。

彼は、眠れない夜はいたずらに自分一人思い煩うのではなく、思念に対してその進むべき方向を命じなければならない、という。こんは時に役立つのが良い本であり、彼が深く感化を受けた最良の書物は「聖書」であった。

彼の著書の小節を読み、引用された聖書の箇所をめくって読み始めると、不思議にその時々の悩みに合った適切な言葉にめぐり当たる。やがて心が静かになり、気持ち良い眠気とともに、いつのまにか寝ついてしまう。時には時間を忘れ、明け方まで読書にふける事もある。

眠れない夜は、「普段よりもはっきり聞こえるあの静かな声に耳を傾け、そして一切の考えを退けるのが良い。”なぜこの不眠の夜が自分に訪れたのか”と、考えて見る事が大いなる祝福となる」。

そんな夜は、ゆっくりと物事を考えたり、読書をすることにしている。

 

UpBackHome

Copyright© Polyglot Plaza 1997. All Right Reserved.
Updated February 28, 2002