研究開発

 

パソコンのNEC98が発売され、管理工学研究所の "松"を手にし、何とか使用に耐える日本語ワープロが身近かになった。
パソコンを手にして、まず最初にソフトウェアの開発を考えた。家畜の最低コストの飼料配合設計は手作業で計算すると一ヶ月かかる複雑な計算だがコンピュータは数分で処理する。このシステムをパソコンで使用できるようにすれば、畜産経営の会社では相当な経営改善に役立つはずだが、国内ではまだ市販の製品はなかった。
そこで懇意のT社と共同開発をすることにした。私が家畜の飼料配合設計のノウハウに基づいてシステム設計案を提供し、彼らにプログラムを設計してもらう。高等数学の線形計画法を用いて、制限値に合った最低コストの飼料を設計するプログラムを組む。試行錯誤の末に、一年かけてプログラムが完成した。システムの扱い方を記載したテクニカル・マニュアルをT社が担当し、私が配合設計のノウハウを掲載した50ページほどのレファランス・マニュアルをワープロを用いて完成した。関連の業界誌が十誌ほどニュースとして取り上げてくれた。全国からぼちぼちと注文が寄せられて、発売も始まった。T社がシステムをフロッピにコピーして、私が家内作業でマニュアルのコピーをファイルして送る。製品が到着後、入金を受ける。
東京近県にある養鶏業の人から矢のような催促で、採卵鶏の飼料配合設計システムの注文があった。早速T社が発送した。十日ほどすると、代金の払込みがないままに、製品を送り返してきた。満足できなかったということだが、電話で確かめると、返事が曖昧だった。システムのコピーを取って代金を払わずに送り返したものだろうと思った。三ヶ月ほどして、この県のシステムハウスが採卵鶏の飼料配合設計システムを発売開始した。
私のベンチャー会社もやがて経営不振となり、数十冊のマニュアルを抱えて閉鎖した。

 

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Updated February 28, 2002