インターネットの多言語交流のホームページにメール・アドレスを載せて暫くしたら、四月中旬に南米のチリ人から、スペイン語のメールが届いた。
八月に大阪に行く予定があり日本に一ヶ月滞在するので是非日本語を習いたい、必ず返事をくれ、と最後に念をおしてあった。
早速スペイン語で返事を送った。
一週間後、格調の高いスペイン語で自分の家庭と詳しい仕事の状況を知らせてきた。
標準的な外人観光用コースの京都、奈良、鎌倉と東京を組み入れた、一ヶ月のおおよその場所と交通機関の状況を知らせた。
こうして毎週欠かさずメールで連絡を取り合った。誠実なメールの内容で、善良そうな人柄が伝わってきた。
良かったら、わが家でホームステイして、自動車で京都を案内しようかと提案した。
大喜びの返事と共に、来年はチリへきてわが家で泊まってくれ、自然は美しく素晴らしい氷河もあるから、とあった。
到着予定が少しずれ、お盆休みに掛かる。この時期は道路が渋滞し、自動車での観光地巡りはできない。そこで、お盆休みを返上して三、四日都合することにした。
スペイン語圏の来客があると聞いて、娘がスペイン語を習いたいと言った。そこで、夏休みを利用して「スペイン語速習15日」をテキストにして、特訓した。テキストを三分の二ほど習得し、簡単な会話の受け答えはできるようになった。
そんなある夜、わたしがもう寝ていたらチリから国際電話があった。応対に出た娘は、早速スペイン語で応じた。
「オイガ、ドン・ホセ、コモ・エスタス。ソイ、マリア」
パパは今寝ているからちょっと待っててね、と言って寝ていた父親に引き継いだ。コンピューターの調子が悪くメールが送れないので、知らせておいた電話番号を試してかけてきたのだった。
出発を前に、最後に届いたメールは、大阪空港に着いたらすぐ電話をいれるから待っていてくれ、とあった。
到着予定のお盆休みの初日を、電話を待ちながら過ごしたが、連絡はなかった。
三日後に、元気な声で電話があった。
「大阪着いてから、奈良、鎌倉を見物し、今東京にいる。この後、金沢に寄って神戸に入る、ではまた連絡するよ」
「神戸にいるが、今から京都に一緒に行こう」、とお盆休みの最後の日曜日、また電話があった。
「無理だな。もう夏休みも終りで、明日から仕事だ。」
「日本人は働き蜂だね、じゃまた、メールするよ」、ボラチョ(行き当たりばったり)で道中行くのは勝手だが…、やっとれんよ。
アディオス・アミゴ!
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